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マラッカの海賊、その正体は

田中龍作2006/02/24
マレーシア最高裁判所は2月19日、同国のタンカーを昨年6月にマラッカ海峡で襲撃し、油323万ドル相当を強奪した9人のインドネシア人に懲役7年の判決を言い渡した。
マレーシア 事件 NA_テーマ2
 マレーシア最高裁判所は2月19日、同国のタンカーを昨年6月にマラッカ海峡で襲撃し、油323万ドル相当を強奪した9人のインドネシア人に懲役7年の判決を言い渡した。AFP通信が伝えた。同海峡で、海賊に司直の手が及ぶ確率は低い。

 マラッカ海峡は世界有数の海賊出没海域で、各国の船舶が被害に遭っている。国際海事局海賊センターのまとめによると04年、同海峡での海賊発生件数は45件にのぼる。年間7万5000隻もの船舶が同海峡を通過するが、日本の船舶は最大の利用者だ。中東地域から輸入する原油の8割が通る。

 日本のライフライン(生命線)といわれるマラッカ海峡で起きた海賊事犯の判決を、大マスコミがなぜ伝えないのか不思議でならない。日本の船舶が巻き込まれた事案ではなかったからか。昨年の今頃は大騒ぎだったのにもかかわらず、だ。昨年3月、マラッカ海峡を航行中の日本のタグボート韋駄天が海賊に襲われ、乗組員3人が拉致された。身代金は総額で2100万円にものぼった。4月には三菱商事の子会社が所有する貨物船が襲われ、現金200万円余りが奪われた。

「ニホンガタナで襲ってきた」

 たて続いた海賊事件にマスコミ各社は色めき立ち、取材クルーを現地に飛ばした。筆者もノコノコと出かけた。インドネシアは1万5000もの島々からなる。島と島をつなぐようにマングローブ林が延々とのびる。海賊が出撃したり潜んだりするには持ってこいの場所だ。海賊の楽園といってよい。

 インドネシア北スマトラ州で実際、海賊に襲われた漁民の話を聞いた。同州最北部の漁村ウジュンカンプン村のイスマイルさん(写真中段=33歳・当時)は、海岸からわずか2マイルの海上で、ある夜エビ漁をしていた。時刻は11時頃。大きなエンジンを積んだボートが高速で接近してきた。野球帽を被り覆面をした男2人がイスマイルさんの漁船の後部から乗り込んできた。

 乗り込んできた男たちは長さが1・5mもある刀(イスマイルさんは「ニホンガタナ=日本刀」と呼んだ)を振りかざして凄んだ。「これ以上ここで仕事を続けるようならば、お前を殺す」。イスマイルさんは海に飛び込み、泳いで逃げた。「漁船を盗まれてどうして生活していけばよいのか、途方に暮れている」、イスマイルさんは肩を落とした。

インドネシア海軍犯行説も

 沿岸と沖合いでは、出没する海賊の種類が全く違う。後者は使用する船も武器も本格的だ。日本の船舶はこちらの海賊に襲撃される。「ニホンガタナ」などは出てこない。

 04年7月にインドネシアのタンカーが襲われた海域を目指して、小型漁船をチャーターしようとしたが、断られた。「うねりが激しく、とてもじゃないが小舟では無理だ」と漁師は首を横に振った。そこでインドネシア海上保安庁の警備艇(写真上段)に乗せてもらった。

 「船団を組み、連なって航行する船舶は狙われやすい」、警備艇のキャプテンは話す。海峡といえども海は広い。一隻ずつ探して襲うよりも、次々と襲うほうが効率良いからだ、という。海賊も燃料代を節約するのだそうだ。「ジャパンの船はあんなふうだぞ」、キャプテンは続けた。

 海軍、海上保安庁、警察などは異口同音に「海賊はGAM=ガム」だと言う。GAMとはアチェの独立を目指していた反政府武装組織のことだ。

 事件は、外洋仕様の船でなくては近づけない海域で起きている。被害者の話によると、海賊はロケットランチャーなどで武装していた、という。30年に及ぶ内戦でGAMは疲弊し、武器は貧弱だった。せいぜいがAK47・カラシニコフである。ロケットランチャーなんて彼らの夢の世界にも出てこないだろう。外洋仕様の船も夢のまた夢。

では、海賊は誰の仕業なのか

 現地人の多くは口をつぐむが、GAMを除くと最も口の端にのぼるのが海軍犯行説だ。沖合いで外国の船舶が襲撃される事件は、海軍の財政がひっ迫した時に発生する、と解説するジャーナリストもいる。19日にマレーシアで実刑判決を受けたインドネシア人海賊は、海軍ではなかったようだ。だが、捕まり裁判にかけられる海賊は氷山の一角に過ぎない。海軍が捕まるようなことは先ずない。海賊による襲撃事件が影を潜めるということはないだろう。ガードの甘い日本の船舶が襲われる事態は今後も続く。
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「海賊はあの方角からやってきた」、襲われた当時を再現するイスマイルさん(北スマトラ州ウジュンカンプン村沿岸の現場海域で。撮影:筆者)
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パトロールするインドネシア海上保安庁の警備艇(北スマトラ州メダン沖のマラッカ海峡で。撮影:筆者)
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マラッカ海峡はインドネシアとマレー半島に挟まれた海の隘路で、距離1000キロ余りもある。海賊が跋扈するにはもってこいの海域だ。

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[15825] インドネシアも「病巣」は深いですねぇ(溜息)
名前:東堂一
日時:2006/02/25 06:53
田中兄

 玉稿拝読いたしました。
 浜田様の金言「現場に足を運ぶ」のとおりとは言え、“海上保安庁”のパトロール艇に同乗とは・・・・参りました。
 しかも“取材対象(艇長)”に喋らせる喋らせる。(笑)
 小生ごとき素人には“出来ない”本物の取材です。(でも、やってみたかったりする。 笑)

〉海賊も燃料代を節約するのだそうだ。「ジャパンの船はあんなふうだぞ」、キャプテンは続けた。

 「燃料代を節約する海賊」って・・・?
 なんて思っていたら、その後のキャプテンの言葉で警備艇から見えるところを“等間隔・一列縦隊”で航行する日本船団が脳裏に浮かびました。

 それにしても「ニホンガタナ」って・・・(笑)

ps:「赤字」の件、指摘されて初めて“うわ!縁起悪っ!!”って七転八倒いたしました。(爆笑)
 幸い、本業は順調に推移しておりますので、「ゲン」を担ぐ必要は無さそうですが、「最も強調したい“紅一点”」ぐらいに自制しましょう。
 確かに「品格に欠け」ますね。

もののついで(笑):
 昨日、アメリカのライス国務長官が中東歴訪の途中でレバノンにも立ち寄った。
 昨年7月のレバノン訪問時にはラフード大統領やアウン元将軍と短時間ではあったが会談を持った。
 しかし、今回の訪問では前二者を無視した会談スケジュールから「シリアに明確なメッセージを残す」意図と「ヒズボラに協力する者は許さない」態度が記者の目にも明らかだった。

 ライス米国務長官はベッリ国会議長との会談後記者会見で、記者の唐突な“スポーツの嗜好”を問う質問に時節柄「スキーは好きです。」と答えていたが、ベッリ国会議長が即座に「レバノンにはスキー場も沢山ありますが、雪質から言えば“シャバァ農場”のスキー場が最高です。次回訪問時には是非。」と口を挟んだところを見ると、“仕込み”があったのではないかと思われる。(笑)

 「シャバァ農場のスキー場」こと、ヘルモン山(イスラエル名:ドブ山)スキーリゾートはイスラエル企業が開発しているレジャー施設である。
 (やるなぁ、ベッリ。 笑)
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