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飢餓:原因は食糧不足ではなく社会的不公正

IPSJapan2006/11/08
毎年数百万の人々が飢餓に関連した死因で亡くなっている。しかしその原因は、食糧の不足ではなく、社会的不公正と政治・社会・経済的疎外にある。世界食糧デーに当たる10月16日スペインでキャンペーンを開始したNGOは訴えた。(全訳記事)
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【マドリードIPS=ティト・ドラゴ、10月16日】

 毎年数百万の人々が飢餓に関連した死因で亡くなっている。しかしその原因は、食糧の不足ではなく、社会的不公正と政治・社会・経済的疎外にある。世界食糧デーに当たる10月16日スペインでキャンペーンを開始したNGOは訴えた。

 10月16日は、国連食糧機関(FAO)によって1979年に同機関の創立日(1945年10月16日)を記念して世界食糧デーに定められたものである。この日は、貧困撲滅週間の初日にも当たり、この1週間貧困問題について意識啓発のためのさまざまな催し物がスペインはじめ世界各地で執り行われる計画である。

 今年の国連食糧農業機関(FAO)のスローガンは「食糧の安全保障のための農業への投資」である。しかしNGOは、問題は食糧生産の不足ではなく、食糧へのアクセスと消費に関する不公正にあると論じる。

 IPSの取材に応えたスペインの環境団体「エコロジスト・イン・アクション」(EEA)を率いるテオ・オーバーフーバー氏は、世界の人口を養うに足る十分な食糧が生産されており、誰も飢餓に苦しまないですむはずなのにと語った。

 同氏は続けて、障害となっている問題が2つあると指摘した。ひとつは、農産物・海産物を含め食糧の大半が「主に先進工業諸国で消費される肉や副産物となる」家畜の飼料に使われていることだ。

 ふたつ目は、社会的不公正だと言う。多くの国において、国民の大半が、「質の劣る食糧すら」買う余裕がない。

 スペインの「アクション・アゲンスト・ハンガー」の事務局長オリヴィエ・ロンゲ氏は、IPSの取材に応え、質の劣る食糧の例として、マラウイやグアテマラではトウモロコシが生存食であり、フィリピンではトウモロコシ、ジャガイモ、プランテイン(料理用バナナ)が基本食品となっていると説明している。

 「アクション・アゲンスト・ハンガー」の報告によれば、世界では4秒に1人が飢餓に関連した病気で死亡しており、飢餓に苦しむ人はおよそ10億人にものぼる。

 また、この世界規模のNGOは、年間にして600万の子どもが餓死しており、5歳未満の子どもの死の半数は飢餓が原因とも指摘している。加えて、飢餓や栄養不良をなんとか克服したとしても、多くの子どもたちはその後さまざまな障害を背負って生き続けなければならない。

 国際NGOの「国境なき技師団」、「カリタス」、「国境なき獣医団」と、アフリカおよびラテンアメリカにおいてヘルスケアの促進に当たっているスペインのNGO「プロサルース」は、10月16日スペインでキャンペーン「食糧の権利:緊急に」を開始し、食糧の安全保障(すなわち食糧の安定供給)は農業の発展を支援することなくして達成し得ないと訴える内容のDVDを発表した。

 彼らは、FAOの統計によれば、世界で飢餓に苦しむ人の70%は農村地域に暮らしており、自給自足が可能なはずだと述べている。

 キャンペーンは、各国政府に対し食糧の安全保障(すなわち食糧の安定供給)を基本的人権ととらえ、政策を見直して環境の持続可能性の枠組みで農業開発を推進するよう要求している。

 しかしEEAは、FAOの呼びかけである「食糧の安全保障のための農業への投資」について、農業関連産業の拡大する影響や土地の集中を考えるとこのFAOの主張には疑問を感じるとしている。

 EEAは、「世界の農薬市場の70%以上を6大農薬企業が握っており、さらに今後数年で3社になる見込みだ」と強調した。

 またこれらの企業が、自社の除草剤に耐性のある遺伝子組み換え品種を販売することによって利益の高い専属市場で世界の種子販売の大部分を支配しているとも指摘した。

 加えて、一部の遺伝子組み換え植物からは種子がとれないため、貧しい農家も多国籍企業に頼り、毎年新しい種子を購入せざるを得ない。

 EEAはまた、世界の10大食品企業が世界で生産された食料品の4分の1を扱い、10大チェーン店が販売されている食料品の4分の1を扱っていると指摘している。

 そうした政策の影響の一例として、「スペインでは小売価格のわずか4分の1しか農民の手元には入ってこない」とEEAは述べている。

 「それがヨーロッパの先進諸国の実態とすれば、農村地域においては人間以下の生活を余儀なくされている南の諸国での状況は想像に難くない」とオーバーフーバー氏は述べている。(原文へ

翻訳=坪沼悦子(Diplomatt)/IPS Japan浅霧勝浩

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