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貿易/ILO:グローバル・フードチェーンの光と闇(全訳記事)

IPSJapan2007/10/12
世界の飲食品業界では近年集中化が進み、食品小売業者の世界上位10位で世界の食品販売市場の24%を占めているという。FAOが発表した2007年の統計によると、8億5,400万人(世界人口の17%)の人々が今も飢えに苦しんでおり、その数は増え続けているという。
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【ジュネーブIPS=グスタボ・カプデヴィラ、9月25日】

 ILO(国際労働機関)では9月24日から27日の日程で、政府および労使団体の上級代表70人が参加する『 Tripartite Meeting on the Impact of Global Food Chains on Employment (グローバル・フードチェーン(国際供給網)が飲食品部門の雇用に与える影響に関する3者構成会議)』が開催されている。

 この会議の報告書によると、世界の飲食品業界では近年集中化が進み、食品小売業者の世界上位10位で世界の食品販売市場の24%を占めているという。報告書を作成したAndrew Bibby氏は「このような傾向は最近では(販売のみならず)食品の製造・加工の段階でも同様の動きがある」と述べた。

 Bibby氏によると、食料供給システムの多様化は、この業界では特に珍しいことではなく、経済や貿易面で連携が密接に進んでいることを示す証拠であるという。

 現在、世界全体で2,200万人が従事する飲食品加工産業では、世界規模のフードチェーン(食品の一次生産から消費までの流れ:IPSJ)が確実に台頭してきている。このため近年、ILOはこの流れが及ぼす今後の影響に懸念を示している。

 従業員数に関して飲食品加工業界のトップに君臨するのは『Nestle(ネスレ)』社で26万人を雇用している。次に、英国・オランダの2社の持ち株会社から成る『Unilever(ユニリーバ)』社(17万9,000人)、米国の『PepsiCo(ペプシコ)』社(15万7,000人)、『Sara Lee(サラ・リー)』社(13万7,000人)、『Coca Cola(コカ・コーラ)』社(13万2,300人)と続いている。

 小売業では、米国『Wal-Mart(ウォルマート)』社が180万人もの従業員を抱え全米最大規模を誇っている。以下、2位のフランス企業『Carrefour(カルフール)』社(44万500人)、米『Kroger(クローガー)』社(29万人)、英国企業『Tesco(テスコ)』社(27万3,000人)、米『Albertsons(アルバートソン)』社(23万4,000人)と続いている。

 近年、食品業界においてこのような準独占状態が続くのは、巨大企業のM&A(企業の合併・買収)が活発化していることが背景にあるといえる。

 ILOの同報告書では、巨大企業が高収益をあげ続けているなか、食品業界の規模や多様性について生じる問題点をめぐり、今後検討していく必要があるとしている。

 例えば、2006年度の各社の総収益は次のとおりである。Nestle社:747億ドル、Unilever社:496億ドル、PepsiCo社:326億ドル、Sara Lee社:197億ドル、Coca Cola社:418億ドル。

 2004年度のWal−Mart社の売り上げは290億ドル、Carrefour社は991億ドルにも上った。

 このように企業の収益性が伸び続けている一方で、『利潤の配分』に関しては不平等が生じている。ジンバブエのえんどう豆の生産者は、先進国で販売されている市場価格1ドルにつき、その利益は僅か12セントである。同様に、ケニアでも野菜生産者が手にする利益は僅か14セントにすぎない。

 エクアドルから英国に輸出されるバナナに関する調査で、バナナの販売で農場経営者が得る収益は10%で、一方の労働者は僅か1.5%であることが明らかになった。

 (今回の報告書で論じられている)グローバル化の加速する食品業界の変化は、労使関係や社会対話の役割にも大きな影響をもたらすことになるだろう。

 報告書では「健全な労使関係の構築と中核的労働基準の公約を確保し、フードチェーンの全段階で企業の参加と関与を通じ、企業と生産者が公平に恩恵を得ることができるようにする」
 「食品製造業の労使パートナーには世界中で適切な団体交渉の記録がある。例えば『Nestle Asia−Pacific』社は、数カ国で労働組合権の保障、組合活動の保護、機会均等、年齢・性別・国籍・宗教の差別禁止といった広範囲の問題をめぐる労働協約に調印をしている」としている。

 今回の3者構成会議の出席者の1人でもある、ドイツ飲食業組合のKlaus Schroeter氏は「報告書で書かれている労働協約は、(特に問題となっている国では)国内法を遵守していない」
 「ILOは企業の考えに即して意見を出していないため、報告書は決して満足いくものではない」と主張した。

 Schroeter氏は、報告書の中でアジアやラテンアメリカで食品の需要が伸びると予測している点に異議を唱えた。「このような内容では、『消費量の増加が世界的な貧困・飢餓をもたらす』と考える多くの専門家の懸念を一層深めるだけだ」

 同氏は「今この瞬間にも多くの子供たちが餓死しているというのに、ILOがこのような見解を示すのは皮肉なことである。報告書の作成者もこれに気づいているはずだ。これほど酷い報告書は見たことがない」と嘆いた。

 国連食糧農業機関(U.N.Food and Agriculture Organisation:FAO)が発表した2007年の統計によると、8億5,400万人(世界人口の17%)の人々が今も飢えに苦しんでおり、その数は増え続けているという。(原文へ

翻訳=松本宏美(Diplomatt)/IPS Japan浅霧勝浩

IPS関連ヘッドラインサマリー:
中国:食品・医薬品の安全性に本腰
エネルギー/食:バイオ燃料が食糧援助のコストを上げる
貿易:EUの新最大残留限界設定、アフリカ農家の締め出しとなるか
ケニア:農産物に価値を付加して収入確保
◇ ◇ ◇
貿易/ILO:グローバル・フードチェーンの光と闇(全訳記事)
 今回はジュネーブIPSのガスタボ・カプデヴィラより、世界の飲食品産業の発展がもたらす問題点について報告したIPS記事を紹介します。(IPS Japan浅霧勝浩)資料:Envolverde
貿易/ILO:グローバル・フードチェーンの光と闇(全訳記事)
 現在、世界全体で2,200万人が従事する飲食品加工産業では、世界規模のフードチェーン(食品の一次生産から消費までの流れ:IPSJ)が確実に台頭してきている。このため近年、ILOはこの流れが及ぼす今後の影響に懸念を示している。
資料:Envolverde
貿易/ILO:グローバル・フードチェーンの光と闇(全訳記事)
 このように企業の収益性が伸び続けている一方で、『利潤の配分』に関しては不平等が生じている。ジンバブエのえんどう豆の生産者は、先進国で販売されている市場価格1ドルにつき、その利益は僅か12セントである。同様に、ケニアでも野菜生産者が手にする利益は僅か14セントにすぎない。
資料:Envolverde

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