トップ > 世界 > 保守への政権交代か 韓国大統領選挙まで1週間(上)
世界

保守への政権交代か 韓国大統領選挙まで1週間(上)

角南圭祐2007/12/13
韓国大統領選挙は12月19日の投票日まで1週間を切った。史上最大の12人が乱立し、野党側の保守系も与党側の進歩系もともに分裂する事態で、それぞれ候補一本化を模索するドタバタ劇となっている。
韓国 選挙 NA_テーマ2
 有権者全員の直接選挙によって国家元首を選ぶ韓国の大統領選挙。12月19日の投票日まで1週間を切った。史上最大の12人が乱立し、野党側の保守系も与党側の進歩系もともに分裂する事態となっており、各陣営はギリギリの段階まで候補一本化を模索するドタバタ劇を繰り広げている。

保守への政権交代か 韓国大統領選挙まで1週間(上) | <center>李明博候補(ハンナラ党)</center>
李明博候補(ハンナラ党)
 韓国大統領は5年が任期で、1期しか務められない。軍事独裁政権が続いた韓国では、軍事独裁政権の流れを汲む保守(右派)と、民主化運動の流れを汲む進歩(左派)の対立が続いてきた。この10年は民主化運動の大ボス・金大中(キム・デジュン)氏と、歴史清算など革新政権らしい思い切った政策を推し進めた盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏の進歩系政権が続き、民主化が浸透した。

 しかし「政治家としては幼稚だった」などと盧武鉉政権への失望感が大きい韓国社会では、政権交代を望む声が大きい。親盧・反盧に分かれた与党も絶え間ない分裂や統合を繰り返し、国民の与党系に向ける視線は冷たい。今回は保守の最大野党「ハンナラ党」に期待が集まっており、10年ぶりに保守政権による政権交代が実現するとみられている。

 最大野党のハンナラ党は、夏前から既に大統領選の話題の中心となっていた。軍事独裁政権時代の代表的人物・朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の娘、朴槿恵(パク・クネ)元党首と、財閥・現代グループの現代建設元会長で、前ソウル市長の李明博(イ・ミョンバク)氏が党内候補選に出馬、党内を2分してネガティブキャンペーンを含む激しい選挙戦を繰り広げ、結局李明博氏が勝った。

 マスコミや国民の、ハンナラ党候補者選挙に対する注目は熱狂的で、実質的な大統領選挙とも言われた。ハンナラ党内ではまだこの選挙戦の傷が完全に癒えておらず、党が一致団結して大統領選を闘える状態ではない。

保守への政権交代か 韓国大統領選挙まで1週間(上) | <center>鄭東泳候補(大統合民主新党)</center>
鄭東泳候補(大統合民主新党)
 対する与党側は、「ヨルリン・ウリ党」や「民主党」などが複雑に分裂・統合を繰り返した挙句、大部分の議員が集まって選挙用の「大統合民主新党」が結成された。現在、与党側はこの民主新党と、弱小の民主党、創造韓国党などが残っている。

 民主新党は党内選挙の結果、元テレビキャスターで、盧武鉉政権下では統一相を務めた鄭東泳(チョン・ドンヨン)氏が候補者となった。

 民主党は李仁斉(イ・インジェ)氏、創造韓国党は文国現(ムン・グッキョン)氏、民主労働党は権永吉(クォン・ヨンギル)氏が立候補。最左翼の民主労働党は別として、与党は分裂し、統一候補が立てられなかった。この時点で、世論調査では、李明博は50%、鄭東泳は17%ほどの支持率。その他は低迷した。

 各陣営は韓国選挙でお決まりのネガティブキャンペーンを開始。民主新党は、李明博氏が過去に不正投資・株式操作の「BBK事件」に関わっていたという疑惑を持ち出し、検察が捜査を始めた。

 李明博氏が黒か白か分からないまま保守系があせっている頃、保守本流に動きがあった。前々回・前回にも大統領選に出馬して敗れ、政界を引退していた李会昌(イ・フェチャン)氏がハンナラ党を飛び出し、無所属で立候補したのだ。最高裁判事、ハンナラ党総裁を務めた李会昌氏の支持率は20%まで上がり、鄭東泳氏と同水準の支持率を獲得した。

 こうして、保守分裂という事態になったが、それでも李明博氏の支持率は40%と、圧倒的優位は変わらなかった。進歩分裂・保守分裂の中、李明博・李会昌・鄭東泳の3氏が最も注目される候補として絞られた。

保守への政権交代か 韓国大統領選挙まで1週間(上) | <center>李会昌候補(無所属)</center>
李会昌候補(無所属)
 保守優勢に危機感を覚える与党系陣営は、候補の統一化に向けて動き出す。しかし、大統合民主新党と民主党の合併は交渉決裂。また、一定の期待を受けている創造韓国党の文国現氏と、民主新党の鄭東泳氏とが統一を模索したが、投票1週間前になって交渉が決裂した。

 立候補してからの候補一本化の動きは、1日ごとにダイナミックに変わっていく韓国政治そのものとも言えるが、節操がないと国内メディアからも批判されている。

 投票2週間前になって、ハンナラ党内で対立していた朴槿恵氏が李明博支持を正式に表明。保守本流の朴槿恵氏は李会昌氏につき、ハンナラ党が分裂するのでは、という声もあったが、回避された。また検察当局が李明博氏はBBK事件で「シロ」という捜査結果を発表した。

 こうして、10年ぶりの政権交代による李明博・ハンナラ党新政権が現実味を帯びてきた。現時点で各メディアの世論調査結果を見ると、李明博氏が約40%、鄭東泳・李会昌の両氏が10%後半の支持率を保ったまま、大きな変動はない。

(下)に続く

ご意見板

この記事についてのご意見をお送りください。
(書込みには会員IDとパスワードが必要です。)

[31606] 注目すべき件です。
名前:田中秀郎
日時:2007/12/13 20:58
韓国の政治的動向は、わが国の安全保障(軍事的、経済的に)
重要な要素になります。
日本、アメリカ、韓国、できれば二つの中国とも
安定した関係が維持できれば、北朝鮮ともうまくやっていける
土壌が作れるでしょう。
そうでない場合でも韓国軍との協調は、大事なこと
と思いますので、今後も政局には注目でしょうね。
[31604] わかりやすいですね!
名前:姜咲知子
日時:2007/12/13 18:45
韓国大統領選挙の現状を、丁寧にレポートしてくださりありがとうございます。
日本ではそんなに話題になっていなくて、情報が乏しかったのでうれしい記事でした。

どんな結果がでるのか興味深く思っています。
こんれからも韓国からの新鮮なニュース楽しみにしています。
下のリストは、この記事をもとにJanJanのすべての記事の中から「連想検索」した結果10本を表示しています。
もっと見たい場合や、他のサイトでの検索結果もごらんになるには右のボタンをクリックしてください。