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オバマ候補の人種問題演説で蘇えった「黒人学」講座の体験

海形マサシ2008/03/21
米大統領選民主党の有力候補オバマ氏が、師であるライト牧師の「米国社会は人種差別で成立してきた」という発言に苦慮している、という。この発言で、10年以上も昔の米国留学時代に受けた「黒人学」の講義を思い出した。講師の黒人女性は、白人社会に戦闘的なまでの批判を行っていた。これを下敷きに、「ライト師発言」を考えてみた。
米国 民族 私はこう思う
目次
1.自らの師の発言に反論したオバマ氏
2.「ライト師発言」には聞くべき点も


「ライト師発言」には聞くべき点も

(5)黒人の母親女性の半分が独身なのは、夫である黒人男性の失業率が高いため。

(6)黒人英語は、黒人同士が独自性を確立するために創り上げた英語であり、無教養で標準の英語が話せないというのとは違う。奴隷時代、黒人が母国語を奪われ、白人と同じ英語を話すのを強要された時、自分達を虐げる人々と同じ言葉を話す屈辱から逃れたいがため独自に創り上げた。たいていの黒人は、標準英語と黒人英語、両方を使い分けて話せる。

(7)人類の起源がどこからかを知ることは重要。かつては、ヨーロッパ起源説が有力だった。というのも、白人が、自分達が黒人の子孫であることを認めたくなかったからだ。後に、アフリカ起源説がでてくると、白人が進化した人種集団という説がはびこった。

(8)言葉の定義を問うことによって、差別主義者からの攻撃に備えよ。例えば、黒人の知性は劣るという者がいれば、「じゃあ、知性とは何か、定義を言え」と迫れ。

(9)アメリカ建国の父、ジョージ・ワシントンもトーマス・ジェファーソンも黒人から見れば、偽善者でしかない。彼らは、自由や民主主義の重要性を謳いながら、一方では奴隷の所有者だった。

(10)差別はあらゆる形で残っている。人種によって学校を分ける制度は廃止されたが、意図的に校区を住民の人種分布によって分けるやり方を取っている。教育委員会も学校も白人中心主義。アメリカ社会は、黒人に教育を与えたいと考えていない。奴隷時代、黒人奴隷に字を教えるのを禁じたのと同じだ。無知のままにしておけばコントロールしやすいからだ。黒人が、自らのアイデンティティを守りながら生きていく教育をする重要な場所は、家庭である。

 ちなみに、これらは、先述のように10年以上も前の話である。今日では、黒人を取り巻く状況も微妙に変わっている。それは、オバマ氏が有力候補になったことからも推測される。

 このことについては、貧困層が白人にまで広がったことが要因として大きいが、ある意味、黒人ならば彼が黒人であるということで、弱者の立場の気持ちを理解してくれるのではないかという期待があると思う。アメリカで愛国心を掲げ、戦争を始めたがるのは、いつも保守層の白人男性だ。

 今回、問題となった牧師の発言の中には、日本人にとってもハッとするものがあった。それは、9.11のテロに関するものである。「アメリカは、広島と長崎を爆撃して、ニューヨークとペンタゴン以上の死者を出した。外でしてきたことでのツケを払わされたに過ぎないのに、憤っている」と。

 この発言は過激ではあるが、ある意味、謙虚な意見である、ともいえる。日本人が「我々が中国やアジアに与えてきた犠牲は、広島や長崎よりも上回る。原爆投下は当然の報いのようなものだ」と言うようなものである。

 そんな発言をする牧師の影響を受けた人が、アメリカの大統領になれば、日本にとっても世界にとっても決して心地の悪いことではないと思う。

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