目 次
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暴動の発生も招く食糧価格高騰
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途上国で食料危機が起きる理由
○途上国で食料危機が起きる理由
しかし考えてみると、1次産業中心の“途上国”の多くでなぜ食料不足や飢餓が簡単に起きてしまうのであろうか?
原因その1:食糧援助
食料危機が多くの途上国で起こっている背景には、アメリカが主導してきた食糧援助の影響がある。日本でも敗戦後、アメリカによる小麦やトウモロコシの食糧援助を受けて、食生活が一変してしまった。他国の農産物に依存する構造が出来上がってしまったのである。
アメリカの食糧援助は、自国の余剰穀物解消と市場開拓を通じた支配という明確な戦略を持って遂行されてきた。日本以外に韓国や中南米、アフリカ等にWFPなどを通じて食糧を援助し、輸入に依存する食生活に変化させてきた。
2年連続の大不作に陥ったオーストラリアの小麦(FAO)
原因その2:食のグローバル化
さらにWTO等が推し進める経済のグローバル化、貿易の自由化が途上国の農業を潰してきた。欧米の政府は余剰農産物に輸出補助金を与えて農産物輸出を推進してきた。たとえばアメリカでは、綿花やコメ、小麦を輸出するに当たり、30〜50%補助して、その分値段を下げて途上国に売り込む。いわゆるダンピング輸出で、途上国の農村は大きな影響を受けてきた。
原因その3:自給力の低下
安い輸入農産物に依存した結果、途上国の基幹作物の発展を妨げ、国内生産も減少してしまった。自給の根本が崩れてしまったのである。
○輸出される途上国の農産物
それでは、途上国で生産された農産物はどこの誰が食べているのだろう? 自国で作れるなら誰しも自給できる方がよいと思うのは当然だ。しかし、現実には、途上国は国際機関の後押しを背景に、コーヒーや砂糖や紅茶などの換金作物生産に特化し、先進国に輸出してきた。それでも儲かればよいのでは、と思うかもしれない。以下がその問題点だ。
問題点その1:1次産品の国際価格は常に不安定
途上国の基幹作物である1次産品の国際価格は常に不安定に推移してきた。90年から2000年にかけて多くの農産物価格が低落。特にコーヒーは大暴落し、30年ぶりの最安値を記録して世界のコーヒー生産者を苦しめた。1つの産品に頼ると国際相場に影響を受けやすい、もろい構造になってしまう。
問題点その2:輸出型農業の人や環境への影響
輸出型農業は、利潤のために効率的な形態が求められる。その結果、過度の化学肥料や農薬の使用が農民に求められてきた。アジアでも数万人が農薬被害で命を失っている。また、輸出するといっても基本的に輸入国の企業の力が強いので、農産物の買い叩きが起こりやすい。水の過剰利用や現地の環境汚染も深刻だ。
問題点その3:自給率の低下
食糧援助に伴って起こる食文化の破壊と食の自給性の喪失だ。海外に基本的な食料を依存してしまうと、今回のような危機にたやすく直結してしまう。食料危機は起こるべくして起こったとも言えるのだ。
○食料危機打開に向けて
それでは、現在起こっている食料危機打開に向けて私たちはどのようなアクションを起こしていけばよいのか。以下いくつかのポイントをあげる。
その1:食生活を見直し、食と農の自立を考える
穀物を著しく消費する食肉消費量を減らし、食生活を見直す。また輸入食料に依存する食文化を見直す。日本で言えばパンやファストフードの文化が該当するだろう。また途上国でもここ10年安い海外の農産物に安易に依存し、食文化が大きく変化してしまった。食料の輸入がストップしても対応できるように、自給を大切にし、地域の農業を保全することが重要だ。
その2:クルマ社会を見直し、バイオ燃料生産を拡大させない
新たな燃料として脚光を浴びているバイオ燃料。しかしその内実はクルマ社会やエネルギーの見直しではなく、自動車産業の延命措置として生産されているのが現状だ。アフリカやアジア等世界中で農地や住居との競合、環境の破壊が訴えられている。日本の企業もバイオ燃料生産のために、ベトナムやインドネシアに進出し始めており、今後市民によるチェックが求められていくであろう。
その3:農産物輸出の食糧援助の抑制と自立
各地域の食糧自給に打撃を与える、過剰な食料貿易や食糧援助は規制されるべきだ。世界には、海外に食料を依存せざるを得ない国々も現実にはある。しかし援助する場合にも各地域、各国毎に地域自給を目指すことができるような仕組みが今後は必須になってくるであろう。
その4 :気候温暖化による影響を緩和させるための持続可能な農業の実践
急速に進行する地球温暖化の勢いは簡単には止まりそうにない。日本でも稲の高温障害、果樹の着色障害のほか、農業生産に様々な影響を与え始めた。一方で有機農業や循環を軸とした持続可能な農業は地球温暖化対策に大きく貢献する潜在性を持っている。そうした生産者を守っていくような食生活・ネットワーク作りも大切になっていくであろう。
(筆者はアジア農民交流センター、百姓)
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