愛の南京錠
ここ数年来イタリアの若い恋人達の間で大流行している『愛の南京錠』がフィレンツェで全面的に禁止されました。
これは、南京錠に油性マジックなどで2人の名前や記念日を書き込み、それを2人で、橋の欄干や川沿いの街灯などにかけ(フィレンツェのヴェッキオ橋・ローマのミルヴィオ橋が特に有名)、その後、愛の永遠を祈りながら、橋の上から後ろ向きに鍵を川の中に投げ込むというものです。
ベッキオ橋中央ベンベヌート・チェリーニ像
この流行の発端になったのは、フィレンツェにあった陸軍士官学校の卒業生達が街を離れる日に、自分達が日常使っていたロッカーの南京錠を、ヴェッキオ橋の中央にあるベンベヌート・チェリーニ(*)の胸像を囲む柵に、かけたのが始まりだと言われています(ただし、フィレンツェ市当局はこの流行に歯止めをかける為、この説を否定しています)。
*:ベンベヌート・チェリーニは、16世紀ルネッサンスの最盛期に彫金・鋳造で天才的な才能を発揮した。シニョリーナ広場広場に面したランツィのロッジャにあるメドゥーサの首を持つペルセウス像が有名。
これが、いつの間にか若い恋人達の間で、自分達の愛の永遠を誓うロマンチックな儀式へと姿を変え、フィレンツェのみならずローマやヴェネチアなどでも大流行し始めました。
また、2006年に出版されたフェデリーコ・モッチャさんの『君が欲しい』が原作の映画が07年公開され、その中のローマ・ミルヴィオ橋での南京錠のシーンが、若者達の心を捕えたということも影響したようです。
それ以降、イタリア各地のあちらこちらの橋の欄干や街灯の付け根あたりは、何十何百もの南京錠がぶら下がるという現象が起きてきました。
更に、ローマやフィレンツェを訪れる外国からの旅行者なども、これに習い初め、折り重なるようにぶら下がった南京錠の重みで街灯が倒れたり、欄干がゆがんだりという珍事がニュースになったりしていました。
またいくら小さいとはいっても何百というステンレス製の鍵が川に投げ込まれるため、環境上の問題も懸念され始め、イタリア各地の都市は、この流行に頭を痛めていました。
ヴァザーリの廊下から見たベッキオ橋(07年撮影)
06年の末に、フィレンツェはヴェッキオ橋中央の彫像の周りに南京錠をかける事は、禁止したのですが行為は止まず、それどころかアルノ川沿いの街灯をはじめ、街のあちこちに南京錠がかけられるようになった為、業を煮やした市警察は、ついに今月の18日に多くの溶接工の手を借りて、街中から南京錠の一斉撤去を行いました。さらに市当局は、今後フィレンツェ市内でこの行為を行った者に160ユーロの罰金を課すという厳しい条例の施行にも踏み切りました。
この条例は、外国人旅行者にも適用されるとの事ですので、『永遠に解けない愛の南京錠』の噂をどこかで耳にされ、フィレンツェに行ったら私達もしたい。と思われていた方は、お気をつけ下さい。
痛い160ユーロの罰金を払う「愛の南京錠」の代わりに、美味しいトスカーナ料理をお二人で満喫される事をお奨めします。
最近イタリアで禁止された主な事柄
・ヴェネチア・ローマ・フィレツェの街中の路上販売と海岸(砂浜)での物売りを禁止
・アンコナ近くの街では、街中を犬を連れて歩く事を禁止
・トスカーナとイタリア北部ボローニャ南東地方の海岸でのマッサージサービス禁止
・いくつかの都市では、広場などで鳩に餌をやる事を禁止
・街中の公共の噴水で水あそびや冷却目的での水すくいなどを禁止
・砂浜にバスタオルを引き、自分の場所として確保することを禁止
・音のするサンダルで歩き回る事を禁止
・いくつかの都市では、上半身裸や、ビキニ姿で歩く事を禁止。
・砂浜でサッカーやバトミントン、飛び込み禁止。ヴェネチアでは砂の城を築く事も禁止。
・全てのイタリアの都市で、物乞いの禁止。
・ヴェローナ:公共の公園・子供の遊び場での喫煙禁止。
・ナポリ・ボルツァーノ:公共場所での喫煙全面禁止。
・エボリ:車の中でキスする事を禁止(当然それ以上の行為も禁止)
・ボローニャ:ピルシングの禁止
・カプリ:有名な広場の階段などに座ることを禁止
・ジェノバ:街中での野宿禁止
・ヴィアレッジョ:街中のベンチに足をかけたり上に乗る事を禁止
・ポルデノーネの近くアザーノ・デェチモ:街中を(イスラム教)ベールをかぶって通る事禁止
・ヴィアレッジョ:街中でのスケートボード禁止
・パドバ:年間収入が5000ユーロ以下の人にはレジデンスを発行しない。
・街中の信号などでの停車中の車のフロントガラス洗い禁止
※イタリアの大手新聞 corriere della seraより。
注:イタリアでは海岸に物売りが出ます。バックやバスタオル、その他小物などを山ほど抱えた外国人(その殆どがアフリカ系移民)が海岸を歩きながら物を売り歩きます。また同じようにマッサージ・指圧師、刺青師も、砂浜を歩きながら営業しています(こちらは殆どが中国系移民)。
参考資料:
・
映画 『君が欲しい』(イタリア語版Wikipediaより)
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